ワタナベエンターテインメント

TOP > 辻萬長 逝去のお知らせ
2021年8月23日

辻萬長 逝去のお知らせ

 
 
弊社所属の俳優 辻萬長(享年77)が、2021年8月18日に腎盂(じんう)がんにより永眠いたしました。
 
こまつ座在籍中を含め、これまでお世話になりました観客の皆様、演劇・映画・テレビ関係者の皆様に謹んでお知らせ申し上げると共に、故人になり代わって、生前のご厚情を心より感謝致します。
 
 
辻萬長は、数々の名作演劇作品の柱となった、かけがえのない俳優でした。
とりわけ、日本を代表する劇作家・井上ひさし氏の作品への貢献は多大なるものでした。
2010年の井上ひさし氏逝去後も、俳優として、作家を直接知らぬ観客や演劇人達に、井上氏の遺志を伝え続けました。そして、役を通して、作品を重層的に表現することが出来る、唯一無二の演技力を持つ俳優でした。それは時として、作家自身が意図をせぬ面にまで及び、作品をより高みへと押し上げ、支えたのです。
 
辻萬長は、作品づくりにはなくてはならない存在で、多くの作家や演出家に愛され、頼られました。
演出家・蜷川幸雄氏の作品にも数々出演し、2016年の蜷川氏の葬儀には、「自分は稽古を続け、蜷川作品をより深める」と稽古場を離れず、最後の蜷川演出作品『尺には尺を』を力強く作り上げました。
 
演劇における遺作となったのは、2020年7月公演の三谷幸喜氏作・演出による『大地』です。
井上ひさし氏達からバトンを受け取った世代の三谷幸喜氏が辻萬長に当て書きした役は、辻の俳優人生のラストに相応しい働きをしました。コロナ禍でストップしていた演劇業界の再開公演にもなったこの『大地』で、辻萬長が最後に語った「観客無しで演劇は成立しない」という趣旨の台詞は、多くの演劇人と観客の想いでもありました。
 
人生の最期まで良い芝居をしようと切磋琢磨を続けた稀代の名優・辻萬長の仕事は、これからは共に芝居を作った仲間である作り手、そして同業者である俳優の皆さんたちの表現の中に生き続けるのだと思います。
それは、辻萬長が井上ひさし氏や蜷川幸雄氏から受け継いで、次の時代に演じ、渡したように。
 

株式会社ワタナベエンターテインメント
代表取締役社長 渡辺ミキ
 

なお、葬儀・告別式につきましては、ご家族の意向により家族葬にて執り行われましたことをご報告申し上げます。
 
 
 
辻 萬長(つじ かずなが)
1944年2月9日生まれ、佐賀県出身。1965年に劇団俳優座付属俳優養成所卒業。
主な舞台出演作に『人間合格』『きらめく星座』『日の浦姫物語』『父と暮せば』『オセロー』『NINAGAWA マクベス』、『大地』など。
『ボンソワール・オッフェンバック』で文化庁芸術祭優秀賞、一人芝居『化粧二題』で読売演劇大賞優秀男優賞、『雨』『ロンサム・ウェスト』で紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞している。
近年の映像作品では、NHK『昭和元禄落語心中』、連続テレビ小説『なつぞら』、TBS日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』、『危険なビーナス』、映画『トイ・ストーリーシリーズ(Mr.ポテトヘッド)』など。
NHK終戦ドラマ『しかたなかったと言うてはいかんのです』が最後のドラマ出演となった。
 
 
※辻萬長の辻は一点しんにょうが正式表記