◆この2年間◆ 植松が東大受験に本格的に臨んでいる間、ソロ活動を始動した大熊は、2007年2月に作・演出をすべて手掛けた本格的なコメディサスペンス『店長と万引き犯と不思議な面々。』を発表。 内容的にも興行的にも大成功を収める。 この公演をステップに、舞台『アンラッキー・デイズ』(作・演出:西永貴文×堤幸彦・2007年9月青山円形劇場)への出演を果たし、その舞台を観劇していたクリエイター・大宮エリー氏の目にとまり、CM『日清はるさめヌードル』にて伊藤英明さんの相手役に抜擢。 2008年1月にウッディシアター中目黒にて『ある喫茶店での不思議な情事。』を開催。 公演日も増やしての更なるクオリティを目指してのチャレンジは、前作をはるかに上回る傑作との呼び声高く、各方面から話題を呼ぶことに。 そして11月。 シャカ・大熊啓誉脚本、猫のホテル・千葉雅子氏演出による舞台『アウトオブオーダー外伝』を新宿THEATER/TOPSにて発表する運びとなりました!
■残された者のエッセイ
今日は2月25日、まさに今植松君が試験会場で戦っている時にこのエッセイを書いてます! いや〜、この2年間、本当に言葉では言い尽くせないくらい大変だったと思います。30歳を超えての膨大な暗記ものへの挑戦、現役受験生とのガチンコ対決、そして芸人としての仕事との二足のわらじ生活、特にそれは壮絶なものでした!ロケ先では空き時間は常に参考書と向き合い、企画を知らないスタッフの人が「植松さん渋い趣味してますね!」と言っても「そうなんです。」の一言で片付けてしまう集中ぶり、毎月新ネタをおろすWELライブでも僕が苦労して書いた台本を軽く目を通した後また参考書「いやいや、こっち本業やろ!」とつっこみたくてもつっこめないほどの空気感を出して受験と向き合ってました。もともと浪人生のような顔も最後のほうは見るからに浪人生の顔に! しかしこの10年はっきりいって一生懸命な植松君を見たことが無かった為、内心これはなんて素晴らしい企画なんだと僕はほくそ笑んでました。東大に受かれば当然すごい快挙という事で俄然注目されるし、もちろん仕事も増える、僕はそこにちゃっかり乗っかっていけばそれでいい、こんな楽しておいしい事はない!と思っていたらそこにとんでもない落とし穴が待ってまして・・・ その落とし穴とは・・・とにかく暇なんです!なんじゃそりゃと思う方もいるかもしれませんが、相方のスケジュールを受験勉強に取られる為シャカとしては『暇=仕事がない』という図式が成り立ち、彼の東大受験企画は僕の完全歩合制の生活を直撃しました!貯金で安心を買うようなタイプの僕の貯蓄もどんどんなくなり、不安の負債は貯まる一方、その為7年ぶりにバイトの経験もしました。内容はチラシのポスティング、1200枚という考えられない枚数をリュックサックに入れて渡され(大体小学2年生くらいの重さ)団地や住宅街を1日かけて配り倒す。何度ライオンズマンションの管理人から断られたことか・・・しかしやっていくうちに巨大なマンションを見つけるとテンションが上がり、いつの間にか『ポスティング=天職』という図式が成り立ちそうになるのを必死で我慢しました。 「芸人に暇な時間はない」という言葉があるんですが、東大受験企画が始まり、ダラダラと暇な時間を過ごし、なけなしの金でパチンコに行き熱いリーチを外すたびにその言葉が頭をよぎり、なんとか無理矢理忙しくなる方法はないかな〜?と考えていたらふと無謀な企画が頭をよぎりまして・・・それは「芸人だけでやる本格的な舞台への挑戦!」もちろんやるからには脚本も演出もなんなら細かい制作も1人でやらなければいけません。しかしそれは逆にこの暇な生活からの脱却にはもってこいだと!そこで一緒にやったら楽しそうなメンバーを想像しながら試しに本格的な密室劇の脚本書きを始めたところ、10年間コントを書き続けたかいあって意外とあっさり書けてしまったんです!だったらこれは誰も見たことがないような芸人ならではのゴリッとした舞台をやってみようと奮起し、コンビ同士別々の挑戦が始まりました!しかし集まったメンバーは個性の塊の芸人6人、言ってみれば劇薬を扱う薬剤師のような感覚でしたが蓋を開けてみるとその劇薬が良性の化学反応を起こし処女作『店長と万引き犯と不思議な面々。』は奇跡の大成功!関係各所から想像をはるかに絶する評価をいただき、1人で始めた計画に事務所も完全にバックアップの体制をとってくれて、またそこから派生して準主役のドラマが決まり、他の大きな舞台の客演で呼ばれ、たまたまその客演で出た舞台を観てたCMクリエーターの大宮エリーさんの目に留まりなんとCMまで決まるという漫画のような展開が! 「よし!完全に流れが来てる!後はお前だ!」と植松君の東大受験の1次試験の発表をスタジオで見守ったところ植松君、きっちり1次試験で落ちちゃいまして・・・いったいこの1年なんやったんや、という焦燥感・・・。 しかし後日、「もう1年あったら多分行けそうや」と飛びっきり男前なセリフをぶちかましてきたため、東京のお母さん的存在の僕としては「だったらもう1年やってみたら」という言葉がすんなり零れ落ちちゃいまして・・・よくよく考えたら今回はたまたま僕個人としてはいい風が吹いただけで、またいつチラシ配りに戻るかもしれないという不安も当然ありました。しかし植松君のこの1年間積み上げてきたものに賭けてみる価値はあるともう1年だけ勝負してみることに! そして植松東大受験2年目生活が始まった最中、前回の脚本が評価されなんとアウトオブオーダー外伝という事務所主催の大きな舞台の脚本依頼が!そこで次回作用に暖めていたプランを全部盛り込み渾身の脚本を書き上げ、さあ次は自分の舞台の脚本を!と臨んだところ今度は全然書けないんです!!何回ファミレスや喫茶店で考えてもアイデアは全部アウトオブオーダーに使っちゃったためネタもなく、飲んだコーヒーの量はユニットバスが溢れるくらいに!・・・そしてプロット書くのに3ヶ月。 ついに苦労に苦労を重ねた脚本が出来上がり、僕は再び薬剤師となり、劇薬を集めて前回を越えるべく何度もぶつかり合いながら第2弾『ある喫茶店での不思議な情事。』を今年1月末開演、無事幕を下ろすことが出来ました。 前回を越えれたかどうかは、観に来てくださったふかわりょうさんが瞳孔全開で「間違ってない!」と、見たこともないテンションで言ってくださった事が物語ってるんじゃないかなあ〜と密かに喜んでいたりします。 僕は僕で苦労の連続だった2年間、植松君は植松君なりに語りつくせない2年間だったと思います。 そして今まさに戦っている植松君、いよいよ最終ラウンドです。結果は2週間後、残酷としかいいようがない、0か100の世界。
くしくも理数系の学部を受けるらしく、聞いたところによるとどうも薬剤師になれる薬学部だとか・・・。 |